泣く心【本編】

「おい、お前みたいなやつが気安く見るなよ」


教室から歓声を上げている女からこういうことを言われるから



「………はい」



私は大人しく席に着き勉強道具を取り出す


するとその女は何が気にくわないのか


ガンッ！

と音を立て、私の机を蹴飛ばす


「あー、本当にムカつく！」



私に言っているのかと思いきや、視線は窓の外に向けられていた


窓の外を見てみると

真駆に近寄る一人の女



確か………姫？

とかいうやつ



その矛先が私にくるのも日常茶飯事



私は床に散らばった勉強道具を拾いながら



あの女の集団の中で真駆に笑顔を向けている女や

教室や周りにいる憎しみを浮かべた女の顔を



ただただぼんやりと日常の風景のように眺めていた