矢野さん
「なんだと!?そんな所に立ってるブスが悪いんだろが!」

「道は広いんだから広い所通ればいいじゃないですか!あなたちゃんと目ついてます?飾りじゃないですよね?そんな小さい目してますけど!」

「なっ!なんだとぉ!!」

 ひぃぃ!

 穏便に済まそうと思っていたのに益々相手を怒らしてどうするんだ矢野ー!!

 今にでも噛みつかんとばかりに相手を睨みつけている矢野。

 まさか矢野にこんな一面があるなんて……。

 以外……――とか、感心している場合じゃない!!

 止めなければ!!

 自分の背中に矢野を隠す様に、慌てて男と矢野の間に入る。

「す、すいません俺の連れが。以後気を付けます」

 睨み付けてくる男にそう言うと俺を見て男が一瞬驚いた顔をした。

「そのブスお前の連れなのか?――ハハ!!ダッセー!そんな女連れて歩くなんてお前ダサすぎ!ウケ狙ってんの!?そうだとしたらマジウケるわ!!」

 俺を見てケラケラ思う存分笑うと、路上にペッと唾を吐く。

 あーぶん殴りてぇ……。ウケるのはお前の顔だっつーの!

 苛立つ気持ちを何とか抑える。

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