矢野さん
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その後


泣き止んだ矢野は暫くすると冷静さを取り戻したのか、俺に謝ってきた。

「さっきはすいません……。色々と言ってしまって……」

「いや、別に……。矢野さんが言いたい事もわかるし……」

「もうここでいいです……。後は一人で大丈夫ですから」

 矢野はそう言い俺を見る事なく軽く頭を下げると、振り返って歩きだした。

「え?ちょっ――待って!」

 慌てて矢野の腕を掴む。

「さっきみたいなのに絡まれたら危ないって!」

「大丈夫です」

「大丈夫じゃないから!危ないから送るよ」

「本当に大丈夫ですから」

 掴まれた俺の手から逃げようと、矢野は腕に力を入れる。

 こいつ――!どんだけ俺の事嫌いなんだよ!
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