矢野さん

「祐介と……会ったんですか？」


矢野の言葉にドキンと胸を打つ


――祐介？


お互い呼び捨てで名前を呼び合ってる仲って事は相当親しい関係なのか……


だがテーブルを見つめている矢野の顔は何処か曇っている


「あの後コンビニ寄ったら声掛けられて。俺は覚えてなかったんだけど向こうは覚えてた見たいで」


「……」


テーブルを見つめたまま何も言わない矢野の顔は益々曇っているようにも見えた


「遥って名前言われてわからなくてさ、話聞いたら矢野さんの事で……。矢野さんって遥って名前なんだね」


「……」


青い顔をした矢野は何も言わずテーブルを見つめたまま唇を噛み締めている


「あの、……矢野さん？」


矢野の顔を覗き込むように見るとハッと我に返った矢野が頭を上げた