矢野さん
 女を道具にしか見てないって言われるとそうかもしれない……。


 何も言えなくて黙ったまま男を睨むと、そんな俺に男はニヤっと笑う。


「図星?やっぱり俺達、手組むべきっすねー。お兄さんみたいにイケメンだと女も寄ってくるし」


「……手を組むって何なんだよ」


「何って、もちろん金儲けだよ金儲け。お兄さんだってその為に遥に近づいてんでしょ?」


「なっ―!?」


 男の言葉に思わず驚愕した。


 こいつ何言ってんだ!?


 金欲しさで俺が矢野に近づいてるだと!?


 あまりの衝撃的な発言に目を丸くして呆然と男を見る。

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