矢野さん
「脅迫してお金要求して、それで手を出されたってなっても不利になるのは祐介の方だよ。それでも警察に電話するつもり?」


 矢野の言葉にグッと悔しそうに男の顔が歪む。


「チッ――。うっぜ」


 そう言うと、振り返ってフラフラ歩き出した。


「待てよ!!もう二度と矢野さんに近づかないって言えよ!」


 俺の叫びに男がゆっくり睨んでこっちを見た。


「金の女はコイツだけじゃねーんだよ。もういらねーよ。こんな奴」


 プッ!と路上に唾を吐くと再び振り返って歩き出した。
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