矢野さん
「矢野さんが救急車来るまでの間、応急処置したから重症免れたんだよ」

 え――?

「はいこれ測って」と胸ポケットから体温計を取り出し測るよう俺に差し出してきた。

「矢野さん居なかったら橘くん出血多量で死んでたかもねーアハハ」

「――!!」

 ちょっ――!!綺麗な顔してなんちゅー事言うんだ!?

「矢野さんにちゃんとお礼言っときなよ」

 え?俺がお礼言うんすか?

 矢野に?……なんかおかしくね?

 すると体温計が鳴りそれを祐子さんにハイっと渡す。

「うん熱はないね。じゃあ、ごゆっくり~」

 そう言うと祐子さんは部屋を出ていった。

 ……ん?待てよ?祐子さんがここで働いてるって事は――……。

 矢野もここにいるってことかーー!?

 ……頭が痛い。

 横になっているのになんか目眩がしてきた……。

「まじか…」

 ここまで来るとなんかもう全てが矢野の呪いに感じてくる。

 だが体が動かない今、どうする事もできない。

「……寝るか」

 そんな矢野の呪いから逃れるように再び眠りについた。

――――――――――
――――……

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