矢野さん
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 矢野にセーラー服好きを暴露した次の日。俺は大部屋に移った。

 6人部屋で入って左側の真ん中のベッドになった。

 6人部屋と言っても今は3人しか入っておらず俺合わせて4人。

 3人とも50代のおじさん達だ。

 祐子さんに支えてもらいながらなんとかベッドに着くと、隣ベッドのおじさんが声をかけてきた。

「兄ちゃんか?あの通り魔から矢野ちゃん助けたの」

「え?……はぁ……まぁ……」

 それを聞いた同部屋のおじさん2名も話に入ってきた。

「おーあんちゃんだったのかー!」

「やるねー兄ちゃん」

「……どうも」

 大事件だっただけにどうやら噂になっているようだ。

「今日からお世話になる橘くんよ。仲良くしてあげてね」

 祐子さんが俺の荷物を片付け終わるとおじさん達に軽く紹介してくれた。

「一応紹介しとくわね。橘くんの隣が木村さん、んで向かいが原田さん、その隣が新木さん」

「よろしくお願いします」と頭を軽く下げた。

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