矢野さん
「自分が最低なのはわかってます。だからどうしても謝りたくて……」


「そんな事どーでもいんだよ!それより矢野さん大丈夫だったのかよ!?」


 思わず立ち上がると問い詰める様に近づく。


「は、はい。暫くして心配になって矢野さんに電話を掛けたら何も被害はなかったって……それで二度と会わないと怒って電話を切られてそれから音信不通で……」


 あっったり前だろがぁ!!


 きまりの悪い顔をしオドオドした瞳で俺をみる男に怒りが込み上げる――。


 煙草を灰皿に力一杯押し付けて消すと、男に鋭い視線を送った。


「矢野さんが会いたくないって言ってるんなら諦めたら?謝った所でそんな最低な事して矢野さんが許すとは到底思えないし」


 冷めた口調で言うと男は落胆した様子でため息を吐いた。
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