矢野さん

「正直、今好きかと聞かれたら『好きだった』って言う方が近いかもしれない……」


「え！？なんで！？」


「だって振られて３ヶ月経つんだぞ？今更好きでしたって言われても戸惑うだけだろ」


　そう言うと、左腕にした腕時計を見ると、そろそろ朝礼の時間が迫っている。


「でもまだ気持ちはあるんだろ？」


「……わかんねー。この話はまた今度な。朝礼始まるぞ」


　そう言い赤崎の肩にポンと手を置くと、給湯室を出た。


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　定時の時間になり、帰り支度をしていると、朝話をしてからずっと何かを考え込んでいた赤崎が真面目な顔して話しかけてきた。


「橘」


「ん？」


　横目で赤崎を見ながら書類を片付ける。