矢野さん
「今度の祭日お前空いてる?」


「ああ。今の所は」


「そうか。そのまま空けといてくれ。じゃあな」


「え?」


 赤崎はそう言うと、颯爽と帰って行った。


 ……なんだ?アイツ。


 なんか嫌な予感しかしないんだけど……。


 不安な気持ちが頭の中を廻る――と、それは見事に的中した。


「おはよー橘!」


「……」


 祭日――。寝ていると朝から嫌がらせの様に呼び鈴を連打され、かなり不機嫌な顔でドアを開けると、にんまりした赤崎が立っていた。


「なんだよその格好。まだ寝てたのかよ。早く支度しろ」


 スウェット姿で寝癖が付いた俺の頭を見ると、赤崎が困った様に言う。


 そんな赤崎に冷ややかな視線を向ける。

「……帰れ」


 そう言うと、ドアを閉めようとした。
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