矢野さん
きつい……すっげーきつい……。


 くそ。俺は試されてるのか?


 元彼の事もあって慎重になってんのか?それとも誰かと付き合う度にこうなのか?


 めんどくせー……。


 でも……それで矢野が納得するなら頑張るしかないか。無理矢理して泣かれる方がよっぽどキツイ。


 ほんっっと思うけど……厄介な奴を好きになってしまったな……。


 俺、ちゃんと報われる日がくるかな……。


 そんな一抹の不安を抱えながら、自宅アパートへと車を走らせた。


 その日の夜はムラムラして眠りにつけなかった事は言うまでもなく、次の日は赤崎に3ヶ月キスが出来ない事を笑われた。


 付き合いだしてもまだまだ問題は山積みで溜め息が出るが、今までの恋とは違ってスムーズに行かない焦れったさは面倒だが楽しくもあった。


 新しい発見で胸が高鳴る事もあれば、思い通りに行かない苛立ち。


 でも一つ一つ矢野を知って行く度、嬉しく思うし愛しくも思えるだろう。


 まだ始まったばかりだ。


 これからなんだ――俺達は。


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