矢野さん

 色鮮やかな野菜サラダにローストチキン、ブロッコリーとコーンが添えられたチーズハンバーグ、それに唐揚げにミックスピザ、どれも俺の好きな物ばかりで、テンションが上がる。


「これ全部矢野さんが作ったの?」


「うん。味の保証は出来ないけど」


 矢野は少し困った様に笑ってそう言った。


 前にお弁当を作ってくれた事があったがお菓子作りはプロ並の矢野も、料理となると苦手の様で味付けが薄かったり濃かったり、少し焦げてたり形が崩れたり……。


 決して凄く美味しいとは言えなかったが、矢野の一生懸命作ってくれた気持ちが嬉しくて……。矢野は味の保証は出来ないと言ったけど、矢野が作ってくれた物ならなんでもいける。


「うまそー。もう食べれる?」


 そう言いながら、背広を脱いでソファに掛けると、ネクタイを指で緩める。


「うん。座って。あ、ビール持ってくるね」


「ありがとう」


 矢野にそう言うと、豪華な料理が並べられたテーブルの前に胡座をかいて座った。
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