矢野さん
「だから……ごめんね」


 へへッと照れたように矢野は笑った。


 や……――。





 やぁぁああのぉぉおおー!!


 そりゃないよぉーー!!


 四つん這い状態でガックリ項垂れると、矢野はゆっくり俺の下から抜け出て起き上がった。


 最後まで行けると思ったのに……ちくしょー!また生殺しかよ!


 半泣き状態で項垂れていると、矢野が「ねーねー」と話しかけてきた。


「もうロウソクだいぶ短くなったよ?早く吹いて」


 んな事どうでもいいわ!!


 四つん這い状態からゆっくり腰を下ろして座ると、不満げな顔でケーキを見つめる。


 俺、マジいつか報われる日が来るのかな……。


 本当、矢野って俺を振り回すの上手いよな。わざとやってんのか?


 チラッと横に座る矢野に視線を向けると、ニコッと可愛い顔で笑った。
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