矢野さん
それは小さなメッセージカードだった。そこには綺麗な文字で――。
『お誕生日おめでとう。橘さんが産まれたこの日を、一緒に過ごせて幸せです』
――と、書かれてあった。
それを見て胸がジワーっと温かくなるのがわかった。
あーそうだ……。
当たり前の様で当たり前じゃないんだ。矢野と出逢うのも、一緒にいるのも――。
俺が産まれて矢野が産まれて……、そしてここまで来るのに小さな奇跡が積み重なって俺達は出会ったんだ。
大事にしていかなきゃ……。大切にしなきゃな……。
もう二度と後悔しないように――。
この温かい気持ちと一緒に――矢野と一緒に……。
暫くメッセージカードを見つめると、再び大事に財布の中にしまった。
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