矢野さん
 青のリボンでラッピングされた綺麗な白い袋。

 矢野はそれを俺に渡して来た。

「少しでも多くお礼がしたくて……。お口に合うかわかりませんが、お菓子作ってきたんです。良かったら食べて下さい」

「え?」
 
 矢野が?俺の為に?お菓子?

 あの矢野が……?お礼の為にわざわざ作った――?

 思わず受け取った袋を見つめる。

 変なもん入ってないよな……?つか、お菓子作れるのか?食べられる物なんだろーなぁ……。

 疑いながら恐る恐る袋を開けると、小さな透明の袋に綺麗にラッピングされたマドレーヌが幾つか入っていた。

 お店に並んでそうな程、綺麗なマドレーヌ。

 思わず一つ手に取りマジマジと見る。

「すっげーうまそう……」

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