矢野さん
 その中での不意打ちにドキッとした。

「あ、ああ。そうだね」

 思わず顔を逸らす――。

 なに意識してんだ!?相手は矢野だぞ?

 良く見ろ!可愛くないぞ!残念な顔だぞ!

 そう自分に言い聞かせた。

 暫くして会場のドアが開き次々人が中へ入りだした。

 俺達の席は後ろの方だったがスクリーンの真正面に近くていい席だった。

 始まった映画はSFでなかなか楽しかった。

 ラブシーンは気まずかったけど……。

 矢野をチラッ見ると真剣な顔をして映画を見ていた。

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