矢野さん
「もしかして俺に惚れた?」

 フッと鼻で笑うと矢野はニコッと笑う。

「痛いくらい勘違い野郎なんですね。怖い人」

 クスクス笑う矢野。

「……あっそ」

 なんかメッチャ馬鹿にされた気がするんだけど。

 イラッとしてジトーと目を細めて矢野を見る。

 そんな俺の視線を気にする事なく矢野は俺を見て笑う。

「今日はありがとうございました。私も楽しかったです。じゃあ、おやすみなさい」

 矢野はそう言い、軽く会釈すると改札口へ向かった。

 改札口を過ぎると矢野は振り返り、俺に笑顔で言った。

「橘さんの事『大嫌い』から『嫌い』に格下げしときますね」

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