矢野さん
「二人ともどうしたの？ちょっと落ち着きなよ」

　祐子さんが困った顔で言うと矢野が俺をジロッと睨む。

「だって橘さんが酷いこと言うですよ」

「はぁ？いつ俺が酷いこと言ったんだよ」

　再び険悪ムードが漂うと、赤崎が「まぁまぁ」と俺の肩を軽く叩いて落ち着かせようとした。

「今日は祐子さんの誕生日なんだから、喧嘩とか止めて楽しく飲もうぜ。な？」

　そう宥める様に優しく赤崎が俺と矢野に言う。

「そうですよね……ごめんなさい」

　それを聞いた矢野は申し訳なさそうな顔をした。

「みんな仲良く飲もう。ね？なんで喧嘩したのかは分かんないけど、みんなで仲直りの乾杯しよう」

　祐子さんはそう言うと、ビールの入ったジョッキを持った。

「かんぱ～い！」と祐子さんの掛け声と共に渋々乾杯をした。

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