矢野さん
 さすがに酔っ払い3人に絡まれてるのはヤバイよな……。

 そう思うと、矢野の救出へ向かう。

「すいません。その子俺の連れなんですけど」

 おじさん達を睨んで言うと、気まずそうな顔をして3人は去っていった。

「あ、ありがとう……ございました」

 矢野は俺に頭を下げる。

「タクシー呼んだ?」

「……それが……携帯なくて……多分ロッカーに忘れて帰ったみたいで……。歩いて帰ります」

 矢野はバツが悪そうな顔をして俯く。

「家近いの?どこら辺?」

「ここから30分ぐらい……。桜が丘の近くです……」

 足元を見たまま矢野が答える。

< 97 / 419 >

この作品をシェア

pagetop