矢野さん
 特に会話もなく黙々と二人並んで歩く。

 なんとも言えない空気に段々と息苦しさを覚える。

 そして暫くして――。

「あのさ」

 重い空気に耐えきれず矢野に話しかけた。

「煙草吸っていい?」

「え?あ、はい」

 矢野がそう返事をすると、近くにある植え込みのブロックへ腰を下ろし煙草に火を付けた。

 なんか話した方がいいのかなー……つっても話す事ないしなー……。

 てか矢野は嫌いな俺と居て気まずくないのか?

 そう思うと、少し離れた所で待っている矢野にチラッと視線を向けた。

 特に何とも思ってなさそうな顔をして矢野は待っている。

 しかも口に手を当て小さく欠伸をしている。

 どうやら、変に緊張しているのは俺だけらしい……。

 なんかわからないけど……すっげームカつくのは何故だ……?

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