恋なんて、できないと思ってたんだ。
ちょっと、自嘲気味に笑った。




しばらく歩くと、ちょうど昨日ヒュウガと別れた交差点に着く。


ちらりと向こう側を見ると、ヒュウガがちょうど歩いてきていた。


  「おはよ。」


「あ?アキラ?偶然だな。おはよっ。」


ニコリと笑うヒュウガ。


僕もニコリと笑い返した。


  「せっかくだから、一緒に行こうぜ。」


「そうだな。」



僕たちは歩き出す。



  「お前の母さんと弟に素は見せれたか?」



「…無理だった。お母さんは、もう、きっと。『僕』しか受け入れてくれねぇ。」



  「…弟には、せめて見せろ。」




後悔しねぇように。
< 26 / 53 >

この作品をシェア

pagetop