恋なんて、できないと思ってたんだ。
  「僕もそう思ってた。また、行けたら行こうな。」



「ああ、行こうな。」



僕とヒュウガはそれぞれの家に向かって歩き出す。





「ただいま。」



鍵を開けてドアを開く。



靴を脱ごうとすると、男物の靴が目に入った。



家の中から誰かの足音がした。



「おかえり。」



…まだ、僕たちは。



過去という檻に囚われたまま。
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