恋なんて、できないと思ってたんだ。
「えっ、あっ、すみません!東城さんのですか、えっと、ごめんなさい!」


僕の方にシャーペンを突き出してくる月宮。


僕はそのシャーペンを受け取る。


  「ごめんな、わざわざ。サンキュ。」


「いえいえ!お隣同士ですし!」


…何故に敬語?


「でねでねぇ、アキラ~♪ って、聞いてるぅ~?」



   「ッ・・・ああ、聞いてるぞ。で、何だ?」


僕はヒナの方を向きなおす。


それでも、さっきのヤツの顔が頭を離れなかった。


何故って…


ヤツの笑顔が作り笑いに見えたから。

…とても、さびしそうに、見えたから。


それに、ヤツだけは、僕らを見て顔を赤らめるなんてしねぇ。

そこも気に入った。


僕、なんでヤツのことをあんなに考えてんだよ。

チッ・・・。

でも、

気になってしまったものは仕方ない。





ヤツと、ちょっと関わってみたいと思った。
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