恋なんて、できないと思ってたんだ。
「オイコラ!解けたからってしゃべんな!」


「はぁ~い…。」


ヒュウガは少し僕に微笑んで前に向き直る。


…初めて感謝するぞ。先公。


…言えなかった。なんだか、ヒュウガの目が、怖くて。ヒュウガは僕のことを拒絶している気がして。


ヒュウガは、僕の気を引き付ける、すごい奴だ。


ますます、気に入った。



…帰り。


ユキノは部活で一緒に帰れねぇから、ミホと帰る。ヒナは男と約束があるらしい。


「ねえ、アキラ。」


  「何だ?」


「あなた、月宮君が気になってるの?」


  「…そうかも、な。 恋愛感情かどうかは、わかんねぇけど。」


「…傷つくのは、月宮君かもしれない。あなたかもしれない。」


  「…僕は、そのことを知ってる。だから…、ヒュウガに告白なんてしねぇ。」


それからは無言だった。分かれ道で僕らは別れた。


  ミホはその時、二人とも傷つくことになるかもしれない とひそかに予測していた。

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