電車物語‐名古屋行き‐
「…!」
ようやくわかった
風呂場の灯りが白いのだ
宏香は白電球の灯りを嫌った
「子供の目には明るすぎるわ」
と、美優が入るときは特に、風呂場の白電球は点けさせなかった
入るときはわざわざ取り付けた黄電球を点ける
「気にしすぎだよ」
と苦笑しながら渋々電球を設置したのは
ちょうど四年半ほど前のこと
最初の頃は電球のスイッチを切り替えるのが
面倒くさくて宏香によく怒られた
だが仕事から帰ると家の外からもれる、
幻想的な灯りが隆也自身も気に入り、
徐々に白電球を使わなくなった
駅からの家路で必ず見える柔らかい光りは
どんなときでも自分を迎えてくれている気がしたのだ
しかし…