ポンパドールの魔法
嬉しくて、幸せ過ぎて倒れそう。

狭いエレベーターの中、彼から漂うフェロモンと、甘い甘いムードにやられ、立っているのがやっとの状態だ。

なのに、そこへ追い打ちをかけるように、彼が耳元で囁く。



「でも、やっぱり、これも好き。」



彼は指でおでこの産毛をつまんで微笑むと、不意に、私の頬にキスをした。

嘘? ホント?

こんなの、信じられない..........



赤面して、すっかり固まっている私に、彼が悪戯っ子みたいな笑顔を見せる。

胸の奥が痛くなるほどキュンとして、次の瞬間、エレベーターが「チン」と到着音を響かせた。



「固まるなよ。」

「だって.......。」

「お前、やっぱり可愛い。マジになりそう。」



今、何て言った?

う、う、嬉しい............

もう何も言えない。 本当に泣きそう。
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