〜Dedicated to you〜 (短)
医者が
申し訳なさそうに
もう一度
口を開いた。



『彼、綺麗でしょう。
まるでただ眠っているかのように。

…即死でした。

打ち所が
悪かったんです。


あともう少し
場所がズレていれば
怪我だけで
済んだのですが…



病院へ運ばれて来たときには
息を引き取っていました…』




『悪い冗談はやめて!!!』



ァタシは医者に
怒鳴った。




『ねぇけいた起きてよ!!
いつもの優しい目で
ァタシを見つめ返してよ!
ねぇ冗談はやめて!!
起きて!起きて!!』




狂ったように
けいたに
問いかけ続ける
ァタシを
お母さんは
泣きながら
止めた。


お父さんも
声を押し殺して
泣いている。




しばらくして
けいたの
両親が来た。




医者に説明を受けて
けいたのお腹の上に
顔をうずめて泣いた。





『ホントに
親不孝な子だよ…
さっきまた来るって
帰って行ったばっかり
なのに…』



ァタシは相変わらず
けいたを揺さぶり
起きるように
声をかけつづける。


現実を
うけとめまいと
必死で。。。






病室には
泣き声が
いつまでも
響いていた。



< 58 / 67 >

この作品をシェア

pagetop