大好きだから
 わたしたちが会えないのは、怜央の大学進級課題制作のせいもあった。

 少しして三井さんが満面に笑みを浮かべて戻ってきた。

「千秋っ! 見てー」

 三井さんは「じゃーん」と言いながら、スマホの画面をわたしの目の前に差し出す。

 怜央と三井さんのツーショット。

「良かったですね」

 わたしも一緒に撮りたいな。

 恋人同士になってから1枚も撮っていない。

 そんな思いを隠して気がなさそうに言うと、三井さんはキョトンとした顔になる。

「ちょっと、千秋。羨ましくないの?」
「そ、そりゃあ羨ましいですよ」

 三井さんの突っ込みに慌てる。

「そうかなぁ。全然羨ましそうに見えないわ。ま、千秋は怜央くんが好みじゃないって言ってたもんね。あ! 怜央くん!」

 すぐ近くに三井さんに笑顔を向ける怜央が立っていた。
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