大好きだから
 休憩を取らずに着替えだけですぐに戻ってきたようだ。

 春らしい水色のカーディガンとレモンイエローのロールアップのパンツ姿。

 今の会話聞かれてなかったよね?

 怜央の顔を見てもまったくわからない。

 怜央は三井さんに軽く頭を下げると、カメラマンの方へ行ってしまった。

 怜央の手にスマホが握られているのを見て、わたしは急いでメールを打つ。


『さっきの会話は気にしないでね』


 三井さんの会話を聞いていた前提としてのメール。

 話しが出来ない分、誤解されるのも嫌。

 それだけ書いて送った。

 遠くから怜央を見ていると、送ったメールに気づき見ている。

 見たら何かしらの返事があるものと思っていたけど、怜央は近くにいたマネージャーにスマホを渡してしまった。

 怜央……。
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