京娘と居候。〜陰陽師其の壱〜
「…ぶっ、あははははははは!」
札を消滅させると、一人がいきなり笑いだした。
「何なの?頭おかしくなっちゃった?」
「甘いなあ~。そんなお人好しだと、すぐ死ぬよ?」
男は懐から小刀を取り出すと、じりじり近づいてきた。
「…それで私の事を刺すつもりなら、やめた方が良いわよ」
「は?ついに、恐くなっちゃったわけ…?」
男は小刀を振り上げ、桔梗に突進してきた。
ーーーゴスッ!
「っ!ぎゃああああー!」
男は叫びながら額を押さえて転がり回る。
「あらら…言わんこっちゃない」
男は、桔梗が張った結界に頭から激突して、額から血を流している。
男達を解放する前、念のために張ったけれど、どうやら役立ったらしい。
結界って、鉄より固いから痛いだろうなぁ・・・
桔梗は哀れんだ目で男を見る。
「だから言ったのに。伊達に妖怪とやり合ってるわけじゃないっつの」
「ひいっ…!凶暴女あああ!」
桔梗が転がっている男を、助け起こそうと近づくと、男達は叫びながら逃げて行った。
「…は?何なの、一体…」
桔梗は呆気にとられる。
「ていうか、乙女に向かって凶暴女って!失礼すぎるわ!」