京娘と居候。〜陰陽師其の壱〜
神楽桔梗の朝は、居候達を起こす事から始まる。
「時雨ー!優雅さんー!朔弥ー!」
時は明治初期。
陰陽師の本家の神楽家には、訳あって居候が四人いる。
「ほら!三人共、早く起きてよ!もう欄丸は起きてるよ!」
桔梗は、並んでいる三人の部屋の襖を勢い良く開けて、大声を出す。
「んー…桔梗ちゃんが目覚めの口付けをしてくれたら起きるよ…」
「殴りますよ?」
「わー!ごめん、ごめん!」
優雅が慌て飛び起きる。
「朔弥。朝だから起きて?」
「う…眩しい…」
桔梗が揺すってみるものの、起きる気配は全く無し。
「朔弥?欄丸が待ってるけど、起きなくて良いの?」
「起きる。おはよう、桔梗」
「うん。おはよう」
朔弥は六歳の欄丸が大好き。
苦手な朝も克復してしまうほど。