京娘と居候。〜陰陽師其の壱〜



「なっ!?」



桔梗は向かってきたそれを、咄嗟に左腕で防いだ。

しかし、塊は腕にまとわりつき、じわじわと腕を侵食してゆく。



「っ…!縛!」



桔梗はそう叫ぶと、札を左腕に貼った。



「ほう…札で腕を封じたか。だがもう腕は動くまい」



煙々羅が言う通り、左腕を自分の意思で動かす事が出来ず、唯の肉の塊になってしまった。



「…ふざけないでよ…片腕でだって闘える!」

「威勢が良いのう…だがあまり痛めつけては主様から怒られるでの。今日はこれで帰ろう」



煙々羅は煙となり、窓から外へと出て行った。


< 26 / 33 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop