京娘と居候。〜陰陽師其の壱〜
「なっ!?」
桔梗は向かってきたそれを、咄嗟に左腕で防いだ。
しかし、塊は腕にまとわりつき、じわじわと腕を侵食してゆく。
「っ…!縛!」
桔梗はそう叫ぶと、札を左腕に貼った。
「ほう…札で腕を封じたか。だがもう腕は動くまい」
煙々羅が言う通り、左腕を自分の意思で動かす事が出来ず、唯の肉の塊になってしまった。
「…ふざけないでよ…片腕でだって闘える!」
「威勢が良いのう…だがあまり痛めつけては主様から怒られるでの。今日はこれで帰ろう」
煙々羅は煙となり、窓から外へと出て行った。