京娘と居候。〜陰陽師其の壱〜
桔梗が家を出た少し後ーーー
「時雨〜桔梗ちゃん行っちゃったよ、一人で」
「…だから?」
優雅に言われた時雨は不機嫌そうに答える。
「最近、通り魔が出る…若い女が狙われるって噂…」
「……」
朔弥の言葉を聞いて、時雨が黙る。
「そういえば、桔梗ちゃん帰りは夜遅くになるって言ってたよ。心配だな~」
「夜は妖が活発になっちゃう…」
「……」
追い討ちをかけるような優雅と蘭丸の言葉に、時雨は黙りこくる。
「桔梗ちゃん、すごく方向音痴だよね…」
「あー!ったく、行けばいいんだろ、行けば!」
そう言って時雨は、桔梗を追いかけて走り出した。
その後ろで、三人はガッツポーズ。