京娘と居候。〜陰陽師其の壱〜
林から若い男達が出てきた。
「お、丁度良いのがいるじゃねえか」
男達は桔梗を見つけると、わらわら群がってきた。
…何、こいつら…
そんなことを思っていると、男達の内の一人に、腕をガシッと捕まれた。
「ちょっと!?何すんの!」
桔梗はすぐさま男の手を振り払い、間を取る。
「なんだよ。随分と強気なお嬢さんだな~。ま、その方が楽しめるけどな」
下品な男達の笑いに、吐き気がする。
「あんた達、誰に手出してるか分かってんの…?」
「はあ?何言ってんの?」
男達は、馬鹿にしたように笑う。
「生身の人間だけど、まあいっか…」
桔梗は、少しずつ後退しながら札を取りだし、札を口の前で構えて術を唱える。
「おい!何ブツブツ言ってんだよ!」
「…はっ!」
術を唱え終わったと同時に、札を男達目掛けて飛ばす。
「うわっ!?」
「な、なんだよコレ!」
「脚が…!動かねぇ…!」
それもそのはず。
桔梗が札に術をかけ、それぞれの男達の脚に貼り付けたのだ。
そして、その術は相手の動きを封じるもの。
「私に絡んだりするからよ」
「なっ…?お前、まさか、陰陽師の…」
「そ、神楽家当主の桔梗よ」
男達をどうするか迷っていると、
「わ、悪かったよ・・・もうしねぇから」
男達が観念したように、自由な両腕を挙げた。
「今度同じことしたら、本当に許さないからね」
男達に念をしてから、
「…滅!」
桔梗は札を消滅させ、男達の脚を解放した。