緑の風と小さな光 第1部
「さーて、少し急げば追い付くだろう。…しかし腹が減ったな…」

昨日の朝から何も食べていなかった。

「前払いの分はもう使っちまったしなぁ。さっさと仕事を終わらせなきゃな。」

ボヤきながら歩いていると、何やら人だかりが見えた。

「何だ?」

近づいてみると、大きな立看板があった。

『アームレスリング大会』

腕相撲だ。この町での毎年の恒例行事らしい。

「ん?飛び入り参加も自由。優勝者には…」

『町一番の味自慢「アペット」にて食べ放題』

「おおっ!」

…これは参加するしかない!…

早速、受付に行ってみた。

名前を書くだけの簡単な手続きだった。

彼の巨体に、受付にいた人達も目を見張った。

「でかいなぁ!筋肉もすごいし…今年はサミーじゃないかもなあ…」

サミーというのは、ここ数年連続で優勝している力自慢の男だ。


今年も順調に勝ち進んでいた。

「サミーに挑戦する人はいないかい!」

司会者が声を張り上げていた。
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