緑の風と小さな光 第1部
「あっ…」

「勝者、セレ!」

司会者がセレの右手を高く挙げた。

一段と大きな歓声が上がった。

セレは合点の行かない顔をしていた。

…何が起こった…?

エルグを見ると座り込んでいた。セレは声をかけた。

「おい、具合が悪いのか?」

「食ってないだけだ!くそー!」

栄養不足による血圧低下で脱力したのだった。

エルグは悔しそうに地面を叩いた。


人々の拍手の中、簡単な表彰式が行われた。セレとエルグに、それぞれ優勝と準優勝の賞品が渡された。

優勝者にはもちろん「アペットにて食べ放題」の権利。

準優勝者には小さな銀の懐中時計が用意されていた。


その場を離れてから、セレは

「賞品を交換しよう。」

とエルグに申し出た。

「ホントか!?」

エルグは大喜びで応じた。

「一緒にアペットに行こう。俺達も少し食事がしたい。」

セレはピアリとエルグを連れて、アペットという食堂に行った。
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