緑の風と小さな光 第1部
エルグの食欲は底無しかと思われた。

とにかく食べる、食べる、食べる…

みるみる空の皿が山になっていく。

「ここまで来ると見事だな。」

「もう、すごすぎて…」

セレとピアリは圧倒されていた。

店主は苦笑いだ。

「サミーも大食漢だけど、あんたには負けるね。」

腹が満たされて来ると、エルグは顔を上げてセレとピアリを見た。

目の前にいるのは、緑の瞳の男と、長い黒髪の少女…

「あっ!」

エルグは驚いたように声を上げた。

「何だ?」

セレが尋ねた。

「い、いや、何でもない!」

明らかに動揺している。慌てて食事を終わらせた。

「御馳走様でした!」

「やっと満足したか。」

「ああ。本当にありがとう。」

「礼なんていい。それより、これからどうするんだ?泊まるなら一緒にどうだ?」

「う、うん…でも…」

「素泊まりなら二人でも三人でも料金は同じだ。その代わり床にごろ寝だけどね。」

「有り難いけど…」

「遠慮ならするな。それとも、何か困る事でもあるのか?」

「い、いや…」

「じゃあ、いいな。」

「…うん。」

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