緑の風と小さな光 第1部
食堂を出て宿に行く途中、灰色のツバメが飛んでいるのをピアリが見つけた。

「あっ!見て、セレ!灰色のツバメ!」

「灰色のツバメ?珍しいな。」

セレは灰色のツバメに誰かの魔法を感じた。

エルグはこわばった表情でそのツバメを見つめていた。

「……」

「どうした?」

「いや、何でもない…」

何でもないようには見えなかったが、セレは追求しなかった。


宿に着いた。

二階建ての粗末な宿だ。

上が宿泊する部屋になっていて、下には台所がある。宿泊者が自炊をするのだ。

部屋にはベッドが1台。テーブルが1卓。椅子は2脚。あとは何も無い。

セレとピアリは荷物を下ろしてベッドに腰掛けた。

「エルグも楽にするといい。」

「ああ…」

部屋に入ってもエルグは落ち着かなかった。

「気持ちが落ち着くような飲み物でも作って来ましょうか?」

ピアリが気を使ってくれた。

「あっ…ああ、そうだな…いや、自分で行く。良いお茶の葉を持ってるんだ。」

エルグは小さなビンを持って下に行った。

10分程で戻って来た。手にはカップが3個あった。




< 116 / 287 >

この作品をシェア

pagetop