緑の風と小さな光 第1部
「みんなで飲もうと思って…」

「あら、私達の分まで…。ありがとう。」

セレとピアリも遠慮なく頂く事にした。

「美味しいわ。このお茶、どこの?」

「俺の国のなんだ。」

「お国はどちら?」

「スザール。」

「南の国だな。暑い所の方がお茶の栽培にはいいのかな…ん?ピアリ?どうかしたか?」

セレはピアリの様子がおかしい事に気付いた。

カップを持ったまま、ぼーっとしている。

「ごめん、眠くなっちゃった…」

辛うじてカップを置いて、テーブルに頬をつけて眠ってしまった。

「…!?これは…」

それだけ言って、セレも前のめりにテーブルに崩れた。


「すまない…本当に…」

エルグは涙声だった。

「緑の瞳の男は凶暴な魔法使いだ、って言うから引き受けたんだ…話が違うじゃないか…」

ブツブツと独り言を言い出した。

「ルルグのためだ…」

麻縄を取り出した。セレを縛り上げるつもりだった。

セレの両手を背中に回して、縄を掛けようとした。
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