緑の風と小さな光 第1部
「病気は大丈夫か?」

「うん。今の所は苦しくないんだ。…お兄ちゃん、これは誰?」

足下に横たえられているセレの事だ。

「…これは…」

エルグは口ごもった。

「君の薬代だよ。エルグは弟思いの良いお兄さんだね。」

ガルテンが言った。

「お兄ちゃんがやったの?…この人、死んでるの?」

「いや、殺しちゃいない…」

「お兄ちゃん!これじゃ犯罪だよ!この前だって…!」

「お前の薬のためだ…」

「こんな事するなら、薬なんかいらないよ!」

「エルグ。君の弟はうるさいね。早く連れて行ってくれ。」

ガルテンは苛立っていた。

今ガルテンを怒らせるのはまずい、とエルグは思った。

…セレならきっと自分で何とかするだろう…

「ルルグ、来るんだ。この人はきっと大丈夫だ。」

「何で大丈夫だなんて言えるの?何をされるかわからないんだよ!」

「殺しはしないから安心してさっさと行きなさい!」

ガルテンがうんざりした顔で言った。

「お兄ちゃん!この人を放っておくの?!」

「……」

エルグはやっぱりセレを連れ戻そうと、手を伸ばした。
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