緑の風と小さな光 第1部
「おっと!それは困る!」

ガルテンはルルグを抱え込み、短剣を向けた。

「私の邪魔をするなら、この子は返さないよ。」

「くそう…セレ!」

エルグはセレに呼びかけた。

「セレ!起きろ!」

セレはぴくりとも動かない。

…?…やられたフリ、じゃないのか…?

「ふふ、彼は目覚めないよ。…我々は何も感じないがね、香を焚いているんだよ。魔法使いを眠らせる香をね。

これはちゃんとした魔法商から買った高級品だ。お前に渡した安物のアイテムとは違う。効き目は確かだ。」

そう言ってガルテンはセレの肩を蹴った。

「いけない、この体は私がいただくんだった。大事に扱わないと。」

「いただく…?何をするつもりだ?」

「まずは彼の記憶を消す。そして彼の魂を体から追い出す。その抜け殻に私が入るのさ。

彼は特別な魔法使いでね。ヴァシュロークの魔法石が体の中にあるんだ。何でも出来るすごい石だよ。」

ガルテンはあの灰色のツバメを使って、主だった魔法使いの様子をいつも覗っている。

それで得た情報で商いをしている。

客は魔法商や国家の重役、貴族などが多い。ガセ情報を売らない事では定評がある。
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