緑の風と小さな光 第1部
透明な液体が入っている。何かは解らないが金属を溶かすものだという事は知っている。

錠前にその液体を垂らした。

微かな煙が上がり、錠前が少しずつ溶けてゆく。

「よし…」


その間に、ガルテンはセレを別の部屋に運び、怪しげなアイテムを並べ始めた。

「今までの失敗は最初に記憶を消さなかったからだ。

いい思い出なんか持っていると、魂が身体に執着してなかなか抜けないんだ。…今度は上手く行くだろう。」

ガルテンには実は魔力は無い。アイテムを使いこなしているだけだ。

「まずは、この“記憶封じの剣”で少し傷つける。それで全てを忘れさせて、この薬で魂と肉体を分離させる。」

準備は着々と進んでいる。

「早くしないと…」

ルルグは焦った。

「魂を吸い取る壺はどこに置いたかな…ああ、これだ。よし、これで揃った。」

ガルテンは「記憶封じの剣」を抜いた。

「やめろ!」

ルルグは小さな覗き窓からグラスを投げつけた。

上手い具合にガルテンの手首に当たった。

「!」

ガルテンが怒りの眼差しでルルグを睨んだ。

「大人しくしていろ!」

ガルテンは覗き窓をガチャン!と閉めた。
< 127 / 287 >

この作品をシェア

pagetop