緑の風と小さな光 第1部
ルルグはドアに体当たりした。

1回目、錠前が歪むのを感じた。

2回目、ドアが少し外側に動いた。

3回目、ついに錠前が折れてドアが開いた。

ガルテンを突き飛ばし、香が焚かれている場所に走った。

香を鷲づかみし、火傷するのもかまわず手でもみ消した。

「この!邪魔をするな!」

ガルテンが捕まえようとするのをすり抜けて窓を開けた。新鮮な空気が流れ込んだ。

「こいつ!」

ガルテンは逆上して置物や燭台をルルグに投げ付けた。

「うわっ!」

ルルグの額に何か硬い物が当たった。血が流れた。

「お前から先に記憶喪失にしてやる!」

記憶封じの剣でルルグを切りつけようとした。

が…

「何だ…?」

体が動かなくなった。

「大地の魔法だよ。」

セレだ。

香の効き目が薄れて意識を取り戻したのだ。

ルルグを見て声をかけた。

「君はエルグの弟?」

「うん。」

「こっちにおいで。…怪我をしているね。」

ルルグはセレに走り寄った。
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