緑の風と小さな光 第1部
1ヶ月後、リシュトワールの言った通りデスティオス火山が噴火した。

さほど大きな噴火ではなかった。


「噴火口から3キロ南東に下った辺りに、高さが2メートル程の三角錐の岩があります。その周辺です。」


彼女はそう言っていた。

ヴァシュロークはその場所に行ってみた。

三角錐の岩はすぐに見つかった。しばらく周りを歩きながら見回すと、宝石の原石と思われる石が散らばっていた。

「これか…」

深い緑色で、一見エメラルドの様だが、良く見ると中に様々な煌めきがある。色々と含有物がある様だ。

美しい。

磨き上げたらどんな風に輝くのだろう。それだけでも興味深い。

散在する石片の中から大きめな物を幾つか選んで、布に包み大切に持ち帰った。



小屋に帰り着くと、早速、魔法石造りに取り掛かった。

ガラス製のビーカーに何かの液体を注ぎ、その中に原石を沈めた。
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