緑の風と小さな光 第1部
ルルグは、もともと閉じ込められていた
小さな部屋に戻されてしまった。

「あの人を助けないと…」

前回、閉じ込められていた時から少しずつドアの錠前を削り続けて来た。

わずかなドアの隙間から、細いヤスリで擦り続けた。エルグにコッソリ差し入れても
らった物だ。

だが、なかなか切れない。

「これを使ってみよう。」

小さな瓶を取り出した。さっき、ガルテンの机から拝借した。

透明な液体が入っている。何かは分からないが、金属を溶かすものだということは知っている。

錠前にその液体を垂らした。

かすかな音と煙。

「よし…」


その間にガルテンはセレのまわりに怪しげなアイテムを並べ始めた。

「今までの失敗は、最初に記憶を消さな  かったからだ。

 …いい思い出なんか持っていると、魂が
 体に執着してなかなか抜けないんだ。
 …今度は上手くいくぞ。」

自分の魔力が弱い分、アイテムを揃えているのだ。
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