緑の風と小さな光 第1部
セレは魔法書で薬の事を調べ始めた。ヴァシュロークの魔法書は医学書も兼ねている。

「今、それをどこから出した?」

エルグが不思議そうにきいた。

バッグから出した様子も無いのに、セレの手にはいつの間にか魔法書があった。

「これは持ち主が必要とする時には出てくる物なんだ。」

「へえ~。」

エルグ達にとって魔法使いは謎だらけだ。彼等の国には魔法使いはほとんどいない。


「その薬の材料はもう少し西に行った方が手に入りやすい様だ。

俺たちも西に向かうんだ。町もあるから医者もいるかもしれない。一緒に行くか?」


「うん!そうしよう、お兄ちゃん!」


セレの誘いにルルグが答えた。

「ああ!お願いする!」

エルグは頭を下げた。

「旅の仲間が増えたな。」

セレは笑顔でピアリを見た。

「ええ。賑やかになるわ。」

ピアリも嬉しかった。

「セレは口数が少ないんだもの…私、もっともっとしゃべりたいの!」


…そうだったのか…

セレは少し引き気味の顔になった。
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