緑の風と小さな光 第1部
欠片の1つをじっと見つめ、念じた。

動け…浮かべ…

ピクリと欠片が動いた。

「あっ!」

ピアリが声をあげた。

ノーラは信じられない、という顔になった。

「セレシュヤーデ、あなたがやったのではないの?」

「私はほんの少しあなたに波動を送っただけです。全く波動の合わない者…つまり大地の魔法が全く使えない者には何も起きません。」

「私に大地の魔法が使えるということ?」

「はい。練習すればきっと自在に足を動かせます。攻撃魔法と違ってそんなに難しくはありません。」

ノーラの顔に光が射した様だった。

「また馬に乗れるかしら?」

「練習次第で。」

「…舞踏会にも出られる?」

「大丈夫。」

「すぐにでも練習を始めたいわ。」


そこにエルグとルルグが帰って来た。

「お帰りなさい。エルグ、ルルグ。」

「ご苦労さん。どうだった?」

「…そのお嬢さんは?」

セレの問いには答えずエルグはノーラを見ていた。

「今回の事件の犯人だよ。」

悪戯っぽくセレが言った。

「やめて下さい…意地悪ね…」

上目使いにちらりとセレを見た。笑顔のセレと目があった。

ノーラは恥じらう様にうつむいた。
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