緑の風と小さな光 第1部
次の日、ノーラはちゃんと来た。

熱心な上にコツを掴むのも早かった。

少しだけ足を動かせる様になっていた。

「明日には立てそうですね。」

「本当!?」

嬉しくて嬉しくて…その気持ちが全身から溢れ出ていた。

「良かったわね。」

今ではピアリも応援している。

ノーラはピアリを振り返った。

「私…とんでもない事をしてしまったわね…」

ピアリの傷も原因はノーラだ。

「ノーラさん。私の事なら気にしないで。」

ピアリには、悲しみを持った人を責める事は出来ない。

「…みんなの幸せそうな姿を見ると辛くて…特に仲の良さそうな2人は…。

どんなに望んでも私には手に入れる事が出来ないって思っていたから…。

…ほんの少し、幸せを壊してやりたくなってしまって…。」

ノーラの声は震えていた。

「…わかる…」

そう言ったのはエルグだった。

「俺も実は…いや、まだ今は話す気にはなれないけど…同じだ…」

彼が何か訳ありなのは、セレもピアリもわかっていた。エルグも悪い奴ではない。


『犯罪者』


この嫌な響きの言葉の中には、どれ程の心優しい人が含まれているのだろう、とセレは思う。
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