緑の風と小さな光 第1部
数日後、ノーラの刑が決まった。

「鞭打ち12回だそうだ。」

医者が言った。診療所に来た患者達から伝え聞いたのだ。

12回というのは、ノーラが窃盗、傷害を重ねた回数だ。

エルグは鞭の痛みを良く知っていた。

「いつ?」

「明日。広場で。」

セレとエルグは

「俺達は見届ける。」

と、行く事にした。

ピアリとルルグには診療所に残る様に言った。この2人に見せるのは残酷だ。



次の日。

広場にはかなりの人数が集まっていた。

時間になり、役人がノーラを連れて来た。

「…ノーラ…」

エルグの顔は既に蒼白だった。

ノーラは広場の中央に立てられた柱に両手を縛り付けられた。

それだけでも屈辱だろう。

役人のそばには身なりの良い男性が立っていた。ノーラの父親だろう。

その後ろに隠れる様に立っているのは多分母親だ。泣きながら震えている。

ノーラの白い背中がはだけられた。

鞭が振り上げられた。

「1かーい!」

ビッ!と響く鞭の音と、ノーラの悲鳴…

「2かーい!」

もう血が滲んでいた。

エルグは目を固く閉じて耳を塞いでいた。

セレもさすがに眉間にしわを寄せていた。
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